台湾訛りの中国語に翻弄される。台湾国語とは?

台湾訛りの中国語に翻弄される。 中国語

どうも、台湾在住もうすぐ2年の風林です。

台湾で話されている國語(guó yǔ)=台湾中国語なのですが、
訛りがあることはご存知でしょうか?

台灣國語ともいわれる台湾訛りですが、
特にお年寄りの訛りが結構はっきりしていて、
他方若年層はほとんどこの訛りがありません。

もし台湾在住、あるいは留学した際に、
比較的年長の方と会話したことのある方ならば、
ピンと来るかもしれませんね。

さてこの台湾訛りですが、コミュニケーションが困難なほどに難しい、
などというレベルではなく、普通に会話をしているなかで、ふとした1単語に引っかかり、

「え?なんて言った。。。。?」

となることがあるんですね。

今回はそんな台湾訛りの中国語に翻弄されたエピソードと、その考察および魅力?
について、ご紹介します。

台湾の言語事情について、ちょっと知識を深めていただけるような
コンテンツですので、ぜひ読んでみてください。

台湾の中国語は訛りがある?

台湾の中国語と中国の中国語、どんな違いがあるのでしょうか?
わかりやすく例えるならば、

日本語における標準語と関西弁、
英語におけるイギリス英語とアメリカ英語の関係性に似ています。

台湾の中国語は、台湾語の発音や文法にかなり影響を受けており
それが独特の台湾風味を醸しているのですね。

ただ、私の友人世代(20代後半)の中国語と、
50代以上の世代が話す中国語では訛りの強さが結構異なり、
特に台湾風味が強烈な中国語を「台湾国語」と呼ぶこともあります。

実際の例として、このビデオをご覧ください。

民視新聞網 Formosa TV News network YouTubeより

国会議員の質疑応答の場面ですが、
蔡同榮議員の発言に注目してみると、

游泳池(yóu yǒng chí)が游遠池(yóu yuǎn chí)と発音されていますね。
※私にはyou yon cuに聞こえますが。。。

加えて、途中から中国語と台湾語がごちゃ混ぜで話されていることにも
気づきましたか?

超強烈な台湾テイストですが、個人的には大好きです。笑
若い人がだんだんとこの訛りを話さなくなっているのを見ると、
なんとなく寂しさも感じます。

標準的な中国語のみを勉強していても、基本的には聞き取りにはそれほど問題はないのですが、
別の単語の発音と勘違いをしてしまい、話している意味が全然わからない!
みたいなことは、正直、時折あります。

台湾国語のせいで発生したコミュニケーション・ブレイクダウン
どんなエピソードがあるか、少しご紹介しましょう。

Episode.1 暖かい?寒い?

友人の家に遊びに行った時のエピソードです。

その時は確か冬で、友人の家は山あいにあるので、
台湾にしてはかなり寒い場所にあるんですね。

でも、京都の底冷えにさんざっぱらいじめられていた私からすれば、
台湾の寒さはむしろ心地よいくらいで、ヒートテック+パーカみたいな超薄着で過ごしていました。

そんな様子をみた友達のおばちゃんが発した一言、

おばちゃん:「會不會暖?」暖かくないか?

暖かくないか?って変な質問ですよね。
まぁ寒くもないし、おばちゃんもきっとこんな気温にはなれてるし、
「全然さむくないでしょ?」っていうニュアンスの質問なのだろう。
と思いながら、

私:「很暖」あったかいですね〜

と答えました。

すると
おばちゃん:「你穿的那麼少,穿多一點啊!」そんな薄着やからや、もっと服着なさい!

え?あったかいのに、ふ、服もっと着ろ?
どういうこと。。。思考停止……

そのまま突っ立てると、しびれを切らしたおばちゃん、
かわいい毛糸のモコモコの靴下と、紫のモコモコのニットを
わさっと持ってきてくれました。

その後半日ほど、あれはいったいなんやったんや?
と考えに考えて、たどり着いた答え、

「暖かくないか?」ではなくて、「寒くないか?」
と聞いてたんですね。

なぜこんな勘違いが起こったのか?
実は、2つの台湾訛りの特徴によって、私の教科書中国語脳がバグを起こしていたのです。

教科書や学校での中国語の発音では、

暖かい:暖(nuǎn)
寒い:冷(lěng)

上記のように習いますよね。

この暖/冷たった1文字の中に、台湾訛りのポイントが2つも入っているのです。

台湾訛りpoint1:n/ngの音はそれほど区別されない

台湾訛りの台灣國語では、an/ang, en/engの音はほとんど区別されません。
なので、ěng→ěnと発音されます。

これだけの変化であれば、まだ決定的に音の違うnuanとlen、
nとlの違いによって聞き取れるのですが、さらに決定的な発音変化があったのです。

台湾訛りpoint2:nとlは入れ替わることがある

なんと台湾訛りでは、nとlが入れ替わることがあるのです。
それ全然違う音やんけ!と突っ込みたくなるのですが、
これはそもそも、台湾語のlとnが補完関係にあることに原因します。

Episode.2 龍すぎるか?濃すぎるか?

次は、最近烏龍茶にはまっているという記事を書きましたが、
家の裏にあるお茶やさんに行った時のエピソードです。

収穫が終わり、できたばかりの春茶の試飲をさせてくれるというおばちゃん。

おばちゃん:很香喔?ええにおいやろ?

初めて春茶、口いっぱいに広がる花の香り。

私:這超級香欸!めちゃええ匂いですね!

おばちゃん:嘿啊,這樣會不會太龍?せやろ、龍すぎひんか?

は?龍すぎる?お茶の香りが強すぎて、まるで龍の如く香りが鼻に抜けるさまを、
龍(形容詞)って言うのか?烏龍茶だけに、このお茶めっちゃ龍ですね!みたいにいうのか!?

そんなわけ。。。。

これも、前述のnとlが入れ替わる現象によって
引き起こされたものです。

おばちゃんは本当は、會不會太濃(nóng) 濃すぎないか?と聞いていたのですが、
台湾訛りでは會不會太龍(lón)?と発音されていたのですね。


台灣閩南語受到台灣國語影響的音變趨向
台灣‧清雲科技大學‧通識教育中心 駱嘉鵬

この規則、わかっていても、
突然言われると、とっさには理解できないもので、
修行不足を痛感しました。

台湾訛りの中国語の特徴

さて、せっかくなので、台湾訛りの他の例も紹介しておきましょう。

台湾訛りの中国語=台灣國語の特徴として、
下記のようなものがあります。

区別がなくなる系

  • an/ang→an
  • en/eng→en

子音が置き換わる系

  • 日本(rì běn→zì/lì běn)
  • 是不是(shì bú shì)→素不素(sù bú sù)
  • 蜂蜜(fēng mì)→轟蜜(hōng mì

母音が置き換わる系

  • 好吃(hǎo chī)→好粗(hǎo cū)
  • 國語(guó yǔ)→狗蟻(gǒu yǐ)
  • 同學(tóng xué)→同鞋(tóng xié)

これらは全て、台湾語の影響によるもので、
元来中国語にあって台湾語にない発音を、それに近しい台湾語の発音で
補完されていることにより、このような独自の発音になっていったようです。

とはいえ、きつい訛りを話すのは比較的年齢が高い世代に限られており、
若い人たちからはこういう訛りを聞くことはほとんどありません。

しかし方言や訛りが好きな私としては、
実はこういうところに面白さや魅力を感じますね。

訛り学習の勧め

なかなか教科書脳の段階では、訛りを聞き取ることが難しかったり、
え?それ間違ってるのでは?
などと思ったりもすることがあるのですが、

そういった言語のイレギュラーな変化の背景には、
その地域の言語や歴史、文化的背景の厚みが横たわっているのですね。

その厚みを少しずつ紐解いてゆく営みというのも、
日常会話程度のレベルを習得した先の、一歩進んだ学習目標として目指す先であっても
面白いのではないでしょうか。

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