台東池上-風と水と空気、台湾の米どころを探る旅

池上サイクリングロード 台湾旅行

黄金の風吹く、台湾東部の米どころへ

台北から台鐵で3時間半、花蓮と台東の中間に位置する池上郷を訪ねた。中央山脈と海岸山脈に囲まれた花東縦谷平原の一部をなす池上は、台湾でも有数の米どころとして名高い。

赤文字に白の縁取り「池上米」郷内のカフェ・農会スーパ等で手軽に入手可能。
赤文字に白の縁取り「池上米」郷内のカフェ・農会スーパ等で手軽に入手可能。

台北市内のスーパでも、池上米は日常的に目にすることができる。赤文字に白の縁取りで大きく池上米と書かれたパッケージが特徴だ。ふっくらとした豊満で大粒のツヤのある池上米は、いわば日本における新潟魚沼のコシヒカリと同様、台湾では一つのブランドとして認知されている。

池上米は、日本と同じ米を主食とする台湾人の日々食卓の主役として広く信頼され、愛されているのだ。

11月は秋か-池上の匂い

池上へは台東から太魯閣(タロコ)号で北上するルートをとった。台東からわずか30分の道のりだ。

鉄道の車窓は旅の醍醐味
鉄道の車窓は旅の醍醐味

天気にも恵まれ、カラッとした秋空。11月末でも、日中は25℃程度、明け方や夜でも18℃程度と非常に温暖で過ごしやすい。

どこでも田舎の駅は、ゆるやかな時間が流れる。
どこでも田舎の駅は、ゆるやかな時間が流れる。

到着して目を引くのは、そのユニークな駅舎。木製のアーチがかかった柔らかな建築は、なんでも「日本にありそうな鉄道駅」を目指して作られたのだとか。
豊かな自然と人間生活の調和する池上の玄関口、なるほど。なんだかとってもいい所に来てしまったな、と到着早々に期待が膨らむ。

池上駅舎-木製のアーチと広く取り入れた日光が柔らかな雰囲気をつくる
池上駅舎-木製のアーチと広く取り入れた日光が柔らかな雰囲気をつくる

移動を経て見知らぬ土地に足を踏み入れるとき、私は「匂い」によく注意が向く。例えば飛行機から降り立ち、タラップを歩いているとき。電車から降りたって、ホームに足を踏み出した時。国によって空気の匂いが違うし、都市によってもなんとなく匂いが違う。

飲食物、湿度、気温、環境−−視覚のみでは捉えきれない様々な要素を嗅覚は分析する。私の情緒をつくりだし、その後も印象として記憶の一部に深く刻まれる。

さて、池上はどんな匂いか?
なんとも言えない、なつかしい田舎の匂い。風の匂い。

ゆったりと流れる時間と台湾土狗

池上の中心部は自転車で10分もあれば回れてしまうほどだ。ちょうど1km四方にすっぽりと収まってしまう。2本のメイン通り沿いに、小さな商店、カフェがちらほらとあるのみ。

目ぬき通りの一。空が見える!
目ぬき通りの一。空が見える!

普段は台湾で一番の人口密度(40,000人/㎢)というひどく混み入った場所で生活をしているのだが、池上は通りを歩いていてもほとんど人にすれ違わないし、何度もヒヤッとさせられるスクーターバイクもめったに現れない。

青い空と、田園風景がペイントされた壁。
青い空と、田園風景がペイントされた壁。
カメラを向けると頭を起こしてくれた。まっくろな台湾土狗
カメラを向けると頭を起こしてくれた。まっくろな台湾土狗。

その代わりに出会うのは、道端でのんびりと寝ている犬だ。目の前を通り過ぎるバックパック姿の日本人を横目に、日向ぼっこをしている。秋らしい柔らかな日差しが地面いっぱいに照りつける池上、時間がゆったり流れている。

滋味あふれる池上飯包

到着したのはちょうど12:00、ちょうど昼時だ。目指すは池上米をふんだんに配した「池上飯包」。飯包とは、いわゆるお弁当のこと。かつては台東から花蓮まで8時間を要した。そのため、鉄道に乗り込む人たちのために「飯包」字のごとく、握り飯を竹や桃の葉に包んで売っていたのが発祥なのだとか。

郷中心部には数店舗飯包屋が存在するが、特に人気の高い悟饕池上飯包へ向かう。池上米の歴史、昔の精米風景や池上飯包の成り立ちを紹介する記念館も併設されており、ツアー客で賑わっていた。

中央には生姜の漬物。
中央には生姜の漬物。

オリジナルの経典正宗飯包には、漬物(生姜、高菜、醤油瓜)、豆干、煮卵に醤油煮豚がつく。最初に生姜の漬物をひとかじりし、食欲を掻き立てよ、との指南。優しい醤油ベースの味付けのおかずは、主役の米をしっかり引き立て、飽きのこない味。八角の香りは一切しないため、日本人も好きな味だ。

粒が立った米はかみごたえ、甘みも抜群。弁当のお米は水気を吸ってベットリしていることが多いのだが、池上飯包は木製の弁当箱を用い、水分を弁当箱が吸収するおかげで米の食感が損なわれない。なおかつ、殺菌効果もあるようだ。

以前使用されていた客車
以前使用されていた客車

なお、店の前には旧東部幹線の普通車両が置かれており、車内で飯包を食べることができる。こうした昔の台湾の風景を味わえることも、ここを訪れる醍醐味だ。

悟饕池上飯包
月~土 11:00~20:00
日曜定休
http://www.wu-tau.com

黄金の平原を駆る

温暖な台湾の稲作は、6月と11月に収穫を行う二期作。収穫期直前の稲穂が黄金になる時期は、その美観を見ようと多くの人が池上を訪れる。

池上駅から南東部の田園地帯には田の間を縫うように東6線郷線が走っており、その一部は伯朗大道と名付けられ、サイクリングロードとして整備されている。

東6線の標識
東6線の標識
黄金の田
黄金の田
コントラストが美しい
コントラストが美しい

あたり一面に立つ稲穂が風に揺られる姿は、まるで黄金の海原だ。ひたすらに視界を遮るものがない真っ直ぐの道、柔らかな日差しと吹き抜ける風を感じながら、自転車で2時間の航海。適度な運動にもなり、心地よい疲労感が、より一層心を充実させてくれるはずだ。

視界を遮るものがない。まっすぐの道。
視界を遮るものがない。まっすぐの道。
トラクターと鷺 掘り返した土からでる虫を狙う
トラクターと鷺 掘り返した土からでる虫を狙う

大坡池のほとりで

そろそろ日も暮れてきた頃、サイクリングロードの終点「大坡池」へ向かう。
台湾で唯一の内陸淡水沼である大坡池は池上米の生産にとって欠かせない、中央山脈から引き込む水の量を調整する役割がある。

池上という地名自体が、大坡池の上方に集落があることから名付けられた。池上の人々にとって大変重要なものであることが分かる。

夕暮れの大坡池
夕暮れの大坡池

また大坡池は、郷民の憩いの場所としても機能しているようだ。釣りをする人、語り合う人、駆け回る子供。ここでも時間はとてもゆっくりと流れている。

まとめ

台湾旅行をする人も、東部にまで足を伸ばす人は多くはない。西岸の台中、台南、高雄と違って大都市は無いし、日本語で読めるガイドブックも限られている。

だけども、ゆったりとした空気と自然に包まれながら羽を伸ばすには、池上はきっと良い選択肢だ。

池上のサイン

煌々とネオン瞬く夜市だけが台湾ではない。ひと味違う台湾を、ひと味違う米とともに味わってみてほしい。

補足-池上グルメ情報

飯包以外にもユニークな池上グルメはまだある。1泊してすべて回るのも面白い。

臭豆腐ではなく香豆腐-福原豆腐店

福原豆腐店

併設した豆腐工場で作りたての豆腐料理を味わえるのがこの福原豆腐店。研究に研究を重ねた香豆腐は、見た目は臭豆腐に瓜二つだが、全くの別物。

ほんのりときな粉のような香ばしい香りを放つ外皮は、さくっとクリスピー。中の豆腐はおぼろ豆腐のごとくクリーミだ。臭豆腐が嫌いな人も大好きな人も、ぜひ試してほしい一皿。(香豆腐50元/皿)
月 10:00~18:00
火曜定休
水~日 10:00~18:00

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コメント

  1. AffiliateL より:

    Great content! Super high-quality! Keep it up! 🙂

  2. Eric より:

    台東の景色が綺麗!
    そして写真を撮ることが上手です!
    この文章を見て、また台東に行きたいです!
    ワクワク

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